ガラス瓶への想い

以前、ここに書きましたが、ハーバリウムは私の夢でした。

子供の頃、大好きなビー玉や、おはじきや、お気に入りのリボン、オーロラ色にキラキラ光るセロハンなどを使い古しのジャム瓶に詰めて、水で満たして、それを光にかざして見るのが好きでした。

それをいつまでも取っておきたくてそのまま飾っていたら、ビー玉にふわふわとしたものがくっつき始めたり、水にカビが生えてきたり、セロハンはどろどろになってしまったりと、きれいだったものが汚くなって、悲しくなってしまったことがありました。

お花も、きれいな姿は数日で、やがて枯れてしまいます。

もちろんそれは自然な姿で、今ここにあるものは長さは違えど、いつかみな終わりを迎えます。

それでも少しでも長く手元に置いていられたら…

そう思いながら大人になり、出会ったのがプリザーブドフラワー、そしてハーバリウムでした。そう、願っていたことが叶えられたんです。

 

そして同時に出会ったのは、様々な形のガラス瓶でした。

今日はずっと行きたいと思っていた、北浜にある「Cute Glass Shop and Gallery」へ行って来ました。

ここは、いま世の中に出回っているハーバリウム用のガラス瓶全体のシェアをほとんど占めていると思われる日本精工硝子株式会社という会社がこの7月にオープンされた、ギャラリー兼ショップというお店です。

なんでも社長さんのおばさんの持ち家を保存するためにリノベーションしたんだとか。京町家のようなたたずまいと、中には小さな庭、そして当時を偲ばせる防空壕などがそのまま残されていました。

 

ここのガラス瓶は透明度が高く、私が使っている屈折率の高いオイルを注ぐと、より中の花材がキラキラと美しく輝いて見えます。

これはガラス瓶となる原料の試験的な段階のもの。

光にかざして透明度を確かめ、基準をクリアするまで何度も主原料の配合を変えていくそうです。ここに、より透明度の高いガラス瓶を作ろうと励むガラス職人さんたちの情熱を感じます。

そしてもともと化粧品用の瓶を作られていたというだけあって、女性らしいフォルムを作り出す技術がどこのガラス瓶メーカーよりも長けているということからも、ハーバリウムの瓶に選ばれているということに納得です。

町屋をリノベーションした奥のギャラリーには、社長さんのコレクションであるガラス瓶の数々がたくさん置いてありました。

ウィルキンソンの初代の炭酸水の瓶なんかもありましたが、なんと宝塚の鉱泉が元祖なんだそうで!炭酸水は海外からのものだと思っていましたが、この発見は新鮮でした。

 

私はガラスが好きです。

混ぜるもので色を変え、熱で姿を変える。

生活のすぐ側にあって、時には芸術的な姿にも変わる。

そして時には凶器にもなる、どこか不安定なところ。

古いガラスを通して見る光はなんだか優しく感じられて。

透明な隔たりは、それだけで時間や空間を切り取ります。

そう、窓の向こうにある生活や、窓の向こうのその場所の時間には、そこで暮らしたりそこで働く人たちの温もりが感じられる。

その優しさと、儚さと、ささやかさと。

ハーバリウムで様々なガラス瓶を手に取るたびに、ここにどんな世界を作ろうかといつもわくわくします。

ガラス瓶の奥深さに触れて、これまでガラス瓶が辿ってきた歴史を大切に受け取りながら、また新しい作品作りをしていこうと思った1日でした。